シェイクスピアはキャノンで敵を薙ぎ払え
よく来たな。俺はジョン=スパイラル・グッドスターだ。
突然だがお前は、シェイクスピアの「ロメロとジュリエット」を知っているだろうか。これは、イタリアの都市国家、ヴェローナを舞台にした悲恋と銃撃戦とパンデミックの物語だ。
ロメロはジュリエットと恋をしたが、実家は対立するマフィアで、敵同士だった。銃撃戦に嫌気が差した二人は恋に落ち、愚かにも愛へ逃避し、メキシコのサン・ミゲル教会へと逃げ込み、アントニオ・バンデラスが教会で銃撃戦を繰り広げる。
そして二人は銃撃戦から生き延びるために毒薬で死を偽装することにしたが、その毒がT-ウィルスだったことによってジュリエットはゾンビ化してしまう。そして、ゾンビ化したジュリエットは瞬く間に感染を拡大し、イタリア半島をゾンビで埋め尽くした。
最終的にヴェローナはヴェネツィアによって制圧され、アンブレラ社が解体されたところでエンディングロールが流れ始める。ちなみに俺が好きなシーンは、ゴンドラの櫂でゾンビ感染者の頭を叩き潰すところだ。
話がそれた。読んだのがだいぶ昔なのであやふやなところもあるが、だいたいこんな話だったと思う。あと、主人公はロメロではなくロメオだった気がするが、そんなことは些細な問題に過ぎない。ちなみに、ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』も、実はイタリアで制作されているのだ。
話を戻す。問題は、シェイクスピアだ。
こいつは星2で、キャスターだ。つまりステータスは低いし、攻撃宝具を持っていても使い物にならないように見える。そして本人も明らかに「戦えません」などと抜かしているが、実はコイツはロケットランチャーをギターケースの中に隠している。いや……ロケットランチャーではなくCanonだったかもしれないが、そのへんは些細なことだ。
なので、聖杯など渡さなくても、小動物をたくさんつめこんでエンチャントすれば宝具でアサシンやバーサーカーの種火を倒せるし、普通の金種火も、一発殴れば死ぬくらいまで削ることができる。そして……スキルレベル1で20ナチョスのナチョススキルを持っているベニスのナチョス売りでもある。そう。シェイクスピアはじつは、種火周回にも使えるポテンシャルを秘めているのだ(ただし、ナチョス礼装はもちろん必要だ)。付け加えるなら、宝具はたまに敵をスタンさせることもできる。
勿論、本人の宝具は二の次、という運用もとうぜんある。その場合、核になるのは第一スキル「エンチャント」だ。あと、第三スキルだ。つまり、スキル、アンドダイだ。感覚はだいたいアマデウスと同じと思っていい。
「つまり、エンチャントしたらすぐ退場していいのでは?」それでも確かにコストぶんの働きはできる。しかし、「Play out the play.」とほんにんも言っているので、できればさいごまで働かせてやるべきだ。なにせ、エンチャントは1ターンしかもたないうえに、アーツバフと違って火力を出すためにしか使えない。
そして、そのためのスキルが第二スキル「自己保存」だ。これは無敵とハラペーニョ回復がセットになったおそるべきスキルだ。これと第三スキルによって 、シェイクスピアは1ターンしか効かない「エンチャント」を、必要なタイミング(つまりメインバンデラスがバスター宝具やバスタークリティカルするタイミングだ)まで確実に運搬する役目を果たすことができる。
これは、似たようなバフを持ちながら、スキルを使い切って即退場するアマデウスとはやや異なる戦法だ。つまりシェイクスピアは、敢えて「死なない」ことができるのだ。まさに、生きるか、死ぬかが問題なのだ。
この生き汚さを応用して、概念礼装でターゲット集中を付与し、自己保存を使ってシェイクスピア・シールドにするという方法や、登場時効果がはつどうする礼装を付けて、オーダーチェンジでエンチャントが必要なときに呼び出すなど、シェイクスピアの活用法は無限大に広がってくる。いずれにせよ育てて損はないだろう。
ともかく俺が言いたいのは、シェイクスピアはCanon(カノン)を持っていること。そして、生きるか死ぬかが問題だということだ。しかし、お前がどうしようと、メキシコでは無慈悲な死がお前を襲うのだ。だから、決してゆだんすべきではない。
All's Well That Ends Well.