ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン考
ゴゴゴ……遂に来たようだな、このブログの本来の役割に立ち返る時が……
というわけで、いよいよやってまいりましたフロムアニメイシヨン。
TRPGログ倉庫と化して幾星霜。ニンジャスレイヤーを広めるという使命を脇に、セッションに興じていたところに投げ込まれたナパーム弾。
賞賛・批判何れも、きっともっと文章が上手くて影響力ある人が多分いっぱい書いてくれてるので、ここではちょっと切り口を変えて挑んでみましょう。
それはズバリ、「どうしてこうなったか」
あるいは、「何を考えてこうしたのか」
「関係者全員がラリっていたとしか……」と結論するのは簡単ですが、ここはもうちょっと想像力を働かせて(というより邪推して)、ヘッズの精神を安定させたいと思います。
その前に、今回のネタ。まだ見てない人は下のリンクからGOGO。15分なのでお仕事の休憩時間とかに流し込んでください。
……OKですか?では、行ってみましょう。
仮説① スケジュール、予算の都合
有り得ません。
予算が無い?全世界展開予定して、LAまで行ってプロモやってる作品が?コミカライズ3本もやってドラマCDまで書籍に付けてる作品が?
スケジュール?アニメ発表も制作会社決定も一年前。しかも、15分枠。トドメにまだ第一話です。スタッフとかのゴタゴタも聞きません。TRIGGERは最終話当日納品なんてやる会社ではありますが、それでも不自然ってものでしょう。
つまり、このアニメを作ってる人間は確信犯です。ここから先ではそれを前提に話を進めます。
仮説②敢えて未完成で放映した
「ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン」の展開は、少し複雑です。大雑把には、以下の通り。
ニコニコ放送→BD発売→スペシャル版をTV放送
はい、↑の「スペシャル版」に注目です。今回のアニメ、動く所はガシガシ動いているし、クオリティが高い。一方で、動かないシーンはとことん紙相撲。
昨今、BDで作画修正が行われることは珍しくありません。つまりその延長……肝心のシーンだけ動かしたバージョンをネットで先行放送したのではないか?
割と尤もらしく聞こえます。ネット最速は話題にもなる。
ただ、この仮説にも問題はあります。それはただ一点。
未完成版のBD売るのかよ!
という点です。深夜アニメでディスクの売上は結構大事。
なので、仮にTVで大規模な修正が行われるにしても「これはこれで完成している」と考えるべきでしょう。
仮説③プロモーションのため
一言で言って、耳目を集めるため。
ニコニコでのアンケート結果は最低。でも、ランキングは一位。沢山の人が見ている。ニンジャスレイヤーのタイトルはTwitter検索トレンドで一位に輝きました。
結論から言って、モデルとしては大正解でしょう。ニュースにもなった。恐らく、沢山の人が「ニンジャスレイヤーとはなんぞ!?」と気になったことでしょう。
ニンジャスレイヤーは、決して万人受けする作品ではありません。そこを覆えそうとしたら、ニンジャスレイヤーの根幹にメスを入れないといけなくなってしまう。
なら、デカいパイを狙いに行けばいい。ファンになる比率が少ないなら、母数をでかくすればいい。
つまり、如何に話題になるかを追求したアンサーがこれ……というのは、それなりに納得が行く仮説ではないでしょうか。
こうしてブログを書いてしまってる時点で、自分もある意味載せられている一人です。
仮説④規制避け
ニンジャスレイヤーという作品は、割とゴアです。原作では割と頻繁に首が飛び、腕がもげ、ハートがキャッチ(物理)され、人間がネギトロになります。勿論、必ずしもそれを売りにしている訳ではなく、表現の一手法ではあるのですが。
それをアニメで表現するとどうなるか?間違いなく、規制の嵐。火星でゴキブリと戦うアニメが規制ラッシュになり、ブーイングが炸裂したことは記憶に新しいでしょう。残酷描写で一部作品が海外でやり玉に上がるニュースもありました。
そして、ニンジャスレイヤーは海外展開を企画しています。アニメイシヨンも、既に数十か国で放送決定。海外のレーティングの厳しさは、日本の比ではありません。
「なら、ギャグにしちゃえばいいじゃん」
と誰かが言ったかは定かではありませんが、首が飛ぼうが腕が飛ぼうが、紙人形劇なら(たぶん)問題ナシ。ということで、「ああ」なったのではないかという推測も可能です。
仮説⑤ヘッズを確保する
「そもそも、何故ネット先行なのか?」という疑問。勿論、耳目を集める目的もあるでしょう。それでも、このフロムアニメイシヨンは
「注目を集めることをやる」以前に、
「やりたいことをやっている」のです。
ここで効いてくるのは、ニンジャスレイヤーがTwitter小説であること。ネットはニンジャスレイヤーのホームグラウンドなのです。
ここから、ちょっと面倒くさい話。ニンジャスレイヤーのファン層構築モデルについての理解が必要になります。
ニンジャスレイヤーのメディアミックス特徴として、特筆すべきことがあります。それは必ずしも『同時展開』ではないのです。Twitter連載、物理書籍、コミカライズ、ドラマCD。それぞれのステージでファンを増やして、次のステージに。時間はかかるものの、堅実なやり方です。
先に言った通り、ニンジャスレイヤーは一般受けはしない。ニコニコのアンケートで「とてもよかった」を押した人間は20%。でも逆に言って、五分の一もの人間に届いたのです。
五分の一の人間が、常識離れしたアニメイシヨンから何かを感じ取ったのか。フリークだったのか。それとも研修済みだったのか。それを確かめる術はありません。
でも、他の媒体でニンジャに触れた人間は、その中には確実に居るでしょう(勿論「よくなかった」を押した人の中もいるでしょう)。やりたいことをやった結果に、ついてきている人が確実に居る。そしてTwitterで見ると割と、「次週も見るわ」と言ってる人の絶対数が意外に多い。
しかもこれ、原作に忠実なんですよ。つまり、アニメから入った人間が、高確率で原作に食いつく作り。確実にヘッズは増えるでしょう。それは拡大を続ける雪ダルマです。
そしていよいよ来年には、ネット配信で増えたヘッズを引き連れて、テレビへ殴り込み。そこには更に多くの視聴者が待っている。
……ニンジャスレイヤーが「万人受けしない」と言えるのが、一体いつまでになるのか。自分はとっても楽しみです。
まぁ、ここまで仮説を立てて色々書いてきましたが、結局のところ
「楽しめればいいじゃん」に尽きます。
楽しめるものは楽しめる。ダメなものはダメ。アニメの初っ端から、「あっ、これは自分にはダメだ」と思わせてくれる。それはある意味とっても優しいやり方です。
とはいえ、そりゃもう既存の展開の中で各自育てた「こうあるべきだ」と照らして本気で肌に合わないフレンドもいると思うんで、本当に合わなかったら無理することはない!そこは多様性が生きている。そうじゃない人は、ようこそ!半年間マジで目が離せない15分が供給され続けるぜ! #njslyr
— ザ・ヴァーティゴ (@the_v_njslyr) 2015, 4月 16
ザ・ヴァーティゴ=サンもこう仰っています。自分がタノシイからといって、他の人もタノシイとは限らない。逆もしかり。合わなかったら、原作読んだりコミカライズ読んだりしましょう。
以上です。