ニンジャスレイヤーのまじめなレビュー3
半分シリーズ化しはじめました。今回は「キャラクターの魅力」について。
第一弾で「様々なキャラクターとの一期一会が楽しみの一つ」と書いておきながら、それについて一切触れないのでは、片手落ちというものです。なので、魅力的なキャラの一端をご紹介。
補足その②キャラクター編 ~ニンジャスレイヤーって誰?~
ニンジャスレイヤーの登場キャラクターは現在(2014年6月)600人以上。その中の半分以上はニンジャで、更にそのニンジャうちの8割ほどは既に爆発四散して(死んで)います。
……それでも、生き残っているニンジャだけで60人程度はいる計算になります。しかも、爆発四散したニンジャの中には敵組織の親玉や魅力的な幹部クラスも含まれているのです。これは困った。何か良い紹介基準は無いものか?
- 作者: ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ,本兌有,杉ライカ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2012/09/29
- メディア: 単行本
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そうだ、物理書籍の表紙を使おう。
ということで、書籍の表紙で見るニンジャスレイヤー(略して忍殺)のキャラクター紹介、始まります。ちなみに順序はほぼ巻数順です。
・ニンジャスレイヤー(フジキド・ケンジ)
言わずと知れた主人公。赤黒のニンジャ装束に『忍』『殺』の漢字が刻まれた面包(原文ではメンポ)を纏い、ニンジャを殺す復讐者。それがニンジャスレイヤーです。
その正体は妻子をニンジャ抗争によって殺され、ニンジャを皆殺しにすると誓った元サラリーマン(原文での表記はサラリマン)フジキド・ケンジ。「クレヨンしんちゃん」の「野原ひろし」がしんのすけとみさえをニンジャに殺されたバージョン、という説明が公式でされています。わかりやすいですね?
この主人公、サイバネティクスによる身体強化や、パイロキネシス、テレキネシスといった様々な超能力(ジツ)を持った敵ニンジャが出てくる中、極限まで鍛えられた徒手空拳(カラテ)と手裏剣(原文だとスリケン。ニンジャはスリケンを標準装備しています)だけで戦い抜きます。第二部になるとヌンチャクを使うこともあるのですが……それでも、なんかワームホールを発生させたり反物質投げたりするようなのが相手なので徒手空拳同然です。
いくらニンジャスレイヤーのニンジャが忍ばないといえど、いつもニンジャ装束で居たらとても目立つ(ネオサイタマでも一般人はニンジャの存在を信じていません)。そこでイチロー・モリタという偽名を名乗ることもありますが、そういう場合は大抵ハンチング帽にトレンチコートという出で立ちです。そう、書籍二巻で後ろ側に立っている格好が「イチロー・モリタ」バージョンのニンジャスレイヤーです。
- 作者: ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ,本兌有,杉ライカ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2012/11/30
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・ナラク・ニンジャ
フジキド・ケンジをニンジャスレイヤーたらしめたニンジャソウルにして、頭の中の同居人。
ニンジャを殺すためならば古代のニンジャに関する知恵を貸し、隙あらば主人公の体を奪おうとする、正体不明のニンジャソウル。普通のニンジャソウルは、宿主をニンジャにした後は本人と同化して人格はなくなるのですが、このナラク・ニンジャ、どういう訳か人格がバリバリ残っています。本人曰く「真のニンジャ」。それほど強大な存在なのです。
……ニンジャヘッズの間では、何故かかなりの萌えキャラとして扱われているのですけど。その理由は、本編を読み進めていくうちにわかるかもしれません。
だいたい「うしおととら」の「とら」が頭のなかに居ると思えば合っています。
・ナンシー・リー
ニンジャスレイヤーの頼りになる相棒。鎖国下の日本(ニンジャスレイヤーの日本は鎖国しています)では珍しいコーカソイド系の美人。
ジャーナリストにして、ハッキングの名手。その腕前は、作中全体でも五指に入る程。……ちなみに他の上位陣はだいたいニンジャですが、彼女は一般人(モータル)です。にも関わらず、電脳世界では並のニンジャを圧倒し、時には現実世界でもニンジャ相手にアクションを繰り広げる。とてもタフな女性です。
書籍3巻では、並み居る敵ニンジャを差し置いて表紙を飾っています。
- 作者: ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ,本兌有,杉ライカ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2013/01/31
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・ラオモト・カン
ニンジャ組織「ソウカイ・シンジケート」……略してソウカイヤの首魁にして、ニンジャスレイヤーが妻子を奪われたマルノウチ・スゴイタカイビルでの惨劇を起こした張本人。ニンジャスレイヤーの復讐の最終目標。要するに第一部のラスボスです。
彼の目的はネオサイタマの支配。巨大ファンドを率いる社長という表の顔と、ニンジャ組織の長という裏の顔を使い分け、ネオサイタマを手中に収めるべく暗躍します。清々しいまでの悪の帝王っぷりです。そのキャラクターはまさにワンマン経営者のそれ。
そんな彼は、ラスボスらしく第一部最終巻で表紙を飾っています。
- 作者: ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ,本兌有,杉ライカ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2013/03/30
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・タカギ・ガンドー
第二部でニンジャスレイヤーの相棒となるナイスミドルな探偵。
第二部の戦いの舞台はキョートです。ニンジャスレイヤー世界では、何故か京都は独立してキョート共和国となっているのですが。兎にも角にも異郷の地。必要なのは水先案内人、ということで白羽の矢が立ったのが彼です。
そしてニンジャスレイヤーに協力したばかりに、キョート共和国の闇社会を統べるニンジャ組織、「ザイバツ・シャドーギルド」(略してザイバツ)に狙われることとなった彼の運命やいかに?
その憎めない人柄と、ベテラン探偵という渋い役どころ故の活躍からとても人気の高いキャラです。ガン・カタのような暗黒武道「ピストルカラテ」の使い手でもあり、並のニンジャ相手なら引けは取りません。
- 作者: ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ,本兌有,杉ライカ
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・ヤモト・コキ
女子高生ニンジャ。ニンジャとなってしまったことで親友と離れ離れになり、彼女を捕らえようとする「ソウカイ・シンジケート」の追手と折り紙と日本刀を手に戦います。ここまでとあまりに違うキャッチーな方向性に、原作者が何処かに頭をぶつけたのでは?と心配される人も居るかもしれませんが、ご安心ください。
彼女が主役を張ったエピソード、『ラスト・ガール・スタンディング』、『スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ』の二作は共にニンジャスレイヤーのエピソード人気投票で第一位に選ばれたことがある名作です。誰が言ったか、彼女のエピソードに外れなし。
なお、ニンジャスレイヤーのキャラクターは、原作者の趣味なのかバストが大きめに設定される傾向があるのですが……そんな中、彼女だけは平坦とわざわざ描写に紙幅が割かれています。どんだけ平坦やねん。
ニンジャスレイヤー ゲイシャ危機一髪! (キョート殺伐都市 # 2)
- 作者: ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ,本兌有,杉ライカ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
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・ネザークイーン
ヤモトの現・保護者。作中女子力ナンバーワンの呼び声も高い、ネオサイタマの繁華街「ニチョーム」の顔役ニンジャです。
……ちなみにニチョームというのはおそらく「新宿二丁目」が元ネタとも割れます。ネオサイタマの中でも、特にマイノリティが集まる街。それがニチョームです。このネザークイーンもおネエです。あと、ニンジャスレイヤーに惚れています。
『タイガー&バニー』の『ファイアーエムブレム』を思い浮かべれば、キャラとしてはほぼ当たっています。↑の『ゲイシャ危機一髪!』でヤモトの後ろに立っている偉丈夫が彼……彼女です。
・フォレスト・サワタリ
作中に登場する巨大バイオ企業、ヨロシサン製薬の研究員。とある切欠からニンジャとなり、研究材料だったバイオ・ニンジャ(バイオテクノロジーで作られた異形のニンジャのこと)達と共に自分をこき使ったヨロシサン製薬への叛逆を企てます。アメコミのヴィランによくいる感じです。
但し、ニンジャソウルの影響で錯乱しており、自分をベトナム戦争中のアメリカ軍兵士やベトコンと勘違いする、ナンシー・リーを嫁として連れ去ろうとするなどアクロバティックな言動が見られ、本編中、「サワタリめいた狂気」という表現が本人と関係ない場所で使われるほど。
嫁探しの方は登場を重ねるにつれて落ち着きを見せ、子煩悩パパ、もしくはボーイスカウトの団長のような姿を見せてくれます。
↓の表紙の、編笠を被っているのがフォレスト・サワタリです。彼もまたフジキド同様特殊なジツは持ちませんが、多様な武器やトラップ、しぶとさを駆使して戦います。
ニンジャスレイヤー 荒野の三忍 (キョート殺伐都市 # 3)
- 作者: ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ,本兌有,杉ライカ
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・ジェノサイド
ゾンビのニンジャです。ゾンビがニンジャ?と思うかもしれませんが、ニンジャスレイヤーのニンジャは超人のような意味なので、ゾンビのニンジャ(ズンビー・ニンジャ)は他にも一杯います。
望まぬままニンジャのゾンビにされ、生きながら腐る体、消えていく記憶に苦悩しつつも、己の邪魔をするニンジャを倒し、行きずりで人々を助けるいわばダークヒーローに近い存在です。鎖付きの回転ノコギリを操り、ニンジャ達と戦います。
・ダークニンジャ(フジオ・カタクラ)
ニンジャスレイヤーの仇敵。ラオモト・カンの懐刀にして、フジキド・ケンジ(ニンジャスレイヤー)の妻子を奪った張本人です。いわば永遠のライバル。秘密を持ったニンジャソード『ベッピン』を使う強力なニンジャです。
そんなキャラが「この順序でいいのか?」と思われるかもしれませんが、ここ第二部折り返し地点から彼は本格始動。己の目的、自身の呪われた出自を解き明かすために邁進し、ニンジャスレイヤーとも激戦を繰り広げます。……目的自体にニンジャスレイヤーあんま関係ないんですけど。
紹介(=表紙での登場)こそこの順序ですが、彼は第一部からきちんと登場しているので、ご安心ください。
- 作者: ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ,本兌有,杉ライカ
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・デスドレイン
ニンジャスレイヤー第二部のトリックスター。死刑囚に強力なニンジャソウルが憑依したニンジャ。複数のニンジャを率いて思うままに犯し、殺す極悪な存在です。
ところで、ここまで読んで察しの良い方は気づいたかもいしれません。メイン級のキャラには、超能力(ジツ)を使うニンジャが少ないことに。実はこれにはきちんと理由があります。
ニンジャスレイヤーの世界には、ある原則があります。それは「ノーカラテ・ノーニンジャ」。幾ら特殊能力(ジツ)が強くても、基本的な戦闘能力(カラテ)が無い奴はダメ、というルールです。彼はそのルールに真っ向から反発します。
彼のジツはアンコクトン・ジツ。「暗黒物質」と呼ばれる粘性物質を操り、敵を捉えたり、体内に流し込んで窒息・破裂させたりできる凶悪なジツです。更には敵を殺すことで「暗黒物質」の補充も可能。その最大出力は城一つを覆い尽くす程です。
・アズール
デスドレインの一味。14歳の少女ニンジャです。デスドレインによって家族を目の前で殺されるも、彼女だけは未覚醒のニンジャであることを見抜かれ、デスドレインに連れ去られます。
普段は無口で人形の様にしていますが、デスドレインを憎みながらも彼に縋り、その虐殺に加担するという不安定さを持った彼女の行動は予測不能。
戦闘では不可視の獣を操り、デスドレインを助けます。……基本的には。
・ランペイジ
デスドレインの一味。大企業の立退き強要によって平穏な暮らしを奪われ、改造重機で暴れる「ソバシェフ・ランペイジ事件」で社会への復讐を企てた男。元蕎麦職人です。
いわばフジキド・ケンジの合わせ鏡とすら言えるでしょう。違うのは、フジキドはニンジャにすべてを奪われたこと。彼は企業「マグロ・アンド・ドラゴン」にすべてを奪われたこと。
その些細なボタンの掛け違いが、一体どんな結末を齎すのか。それは「ニンジャスレイヤー マグロ・アンド・ドラゴン」で語られることでしょう(宣伝)。
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- 作者: ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ,本兌有,杉ライカ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2014/07/09
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※この記事は網羅的な解説を目的としているので、筆者の認識不足その他から一部ぞんざいな扱いになっているニンジャも居ます。「このキャラにはこんな魅力もある!」「他にもこんな魅力的なキャラがいる!」と思ったヘッズはぜひ紹介記事を書いてみてください。ヨロシクオネガイシマス。